1DKリペアシリーズは特徴成分として「ヒノキ木油」を配合しています。
その精油は「家具の3大産地」である飛騨地域の高山市で生まれました。
ただの精油ではなく、家具や建材の製作過程で廃棄される木部や山に捨てられている枝葉からアップサイクルされた、髪に、ヒトに、森に、地球にやさしい国産の精油です。
1DKと親和性を感じる、個性溢れる精油のストーリーを綴りました。
3月末、春の訪れを感じ始めていた頃。
ヒノキ精油への理解をより深めたいと思い、蒸留元である高山市へと向かいました。
片道5時間を掛けて向かった北アルプスの壮観は、私達の想像をはるかに超えた雪景色が広がり、この地域の冬の厳しさを容易に感じさせられるものでした。
そのような土地で100年以上も木々と向き合い、森と歩んでこられた飛騨産業株式会社様に伺い、貴重な体験をさせて頂きました。
森の恵みを余すことなく
はじめに、木工家具メーカーとして長い歴史がある中で、これまでの歩みと精油の蒸留を行うに至った経緯を伺いました。
近年、国産木材を積極的に使うことが政府の方針となり、国内の木材自給率は徐々に増えつつありますが、かつては20%を割っていたそうです。
飛騨産業様はその方針になる2003年から、柔らかくて活用が難しい国内の針葉樹を固く圧縮加工する独自の技術を研究され、木々で溢れる国の資源を使用する家具づくりを推進してこられました。
さらに、2012年からは家具に使えない木材や、山を守るための枝打ちで出た枝葉までも、精油や芳香蒸留水などの新たな素材に生まれ変える研究開発を進め、森と歩む企業として、森の恵みを余すことなく、活用する取り組みを進めているとお話し頂きました。
私たちは1DKのリリース時より、容器やラベル、タグなどに環境配慮の要素を意識してきた経緯もあり、その取り組みへ深く感銘を受け、1DKらしさのあるアウトバスを模索する中で強く惹き込まれた内容でした。
蒸留のたびに個性を表現する精油
蒸留工場では様々な樹木の部位から抽出された精油の嗅ぎ分けを体験させて頂きました。
樹木や部位の種類ごとに様々な香りの表情を知れた面白い体験でしたが、驚いたのは同じ種類の樹木から抽出されたものでも部位によって色や香りの感じ方が違うということ。
これは同じ場所で採取された同じ種の草木でも違うこともあり、採取された年度、前後の天気などでも多様に違いがあるようで、「10年近く現場に関わってきたけど、蒸留しなければどんなオイルが取れるかわからないものなんです。でも、そこが面白いですよね。」とお話し頂けました。
抽出されるまではわからない、多様な可能性を秘めたヒノキ精油の個性は、" I don`t know " が引き起こす可能性をポジティブに捉えている私たちにとって、とても親和性がある魅力だと感じました。
効率的かつ環境負荷を軽減された抽出技術
蒸留工場を見学する中で、蒸留装置のスケールに圧倒されました。
蒸留には、前述にあった木材を固く圧縮加工する技術を応用した、「高圧水蒸気蒸留法」という独自技術で精油を抽出されています。
一般的な蒸留方法では100℃の蒸気で蒸留を行いますが、圧力を掛ける独自の技術では130℃〜140℃で蒸留が可能になるようです。
高温で蒸留をする利点は、「圧力鍋で料理をすると、味が早く染み込み、調理時間が短くなりますよね?同じように、高い温度で圧力を掛けることで、短時間で効率的に精油が抽出できるんです。」と教えて頂きました。
優れた成分抽出に加え、短時間作業になることで環境負荷の軽減にもなる素晴らしい技術。
そのような優れた技術で抽出出来るヒノキの精油は、樹木重量に対し約1%ほどの希少なものだそうです。
森の恵みを使い切るという想いと、繰り返されてきた研究と技術で、本来であれば廃材として処分されてしまうはずの樹木が、形を変えて私たちに恵みや癒しを与えてくれる、大変貴重な精油だということを改めて認識しました。
また、飛騨産業の皆様の森とひたむきに向き合う姿勢に、同じものづくりをする立場として、多くの事を学び、心を動かされました。
そのような精油を有効成分として配合できることに深く感謝し、この体験をこれからの製品とサービスに必ず活かしていきます。
ヒノキの精油は一般的に、リラックス効果やリフレッシュ効果を感じる精油として認知がありますが、1DKリペアシリーズに配合されているヒノキ精油が、どのようなプロセスを経て抽出されているかを知って頂く事で、どこか心が温まる気持ちにも触れてもらえたら、という想いでこの記事を綴りました。
「 I don`t know. 」
その感情を起点に、1DKにまた一つ個性が加わりました。